子どもの歯ぎしり

「子供が夜、すごい音を立てて歯ぎしりをしているんですけど、歯が割れたりしないでしょうか?」お母さま方からこのようなご質問をお受けすることがあります。

実は、子供の歯ぎしりは珍しいことではなく、10歳以下の子供の3人に1人は歯ぎしりをしているというデータもあります。ほとんどのケースでは、お子さまの成長過程による正常な行為であることが多いですが、中には何かしらの対応をした方が良いケースもあります。

ここでは、お子さまの歯ぎしりの原因と、対応が必要な場合の治療についてご紹介させていただきます。

歯ぎしりの原因

歯の生え始め~3歳ごろまでの歯ぎしり

赤ちゃんの歯ぎしりは、乳歯が生え始める生後6カ月〜9カ月ごろから始まります。
歯が生える時期になると、歯茎がむずがゆく感じられるようになるため、それを解消するために歯ぎしりをすると考えられています。

また、お子さまによっては新しく生えてきた歯を確認しようとしたり、歯を当てて遊んだりすることがありますが、これらの歯ぎしりは、歯がきちんと生え揃えば自然となくなることがほとんどです。

4歳~12歳ぐらいまでの歯ぎしり

この時期は、ちょうど乳歯から永久歯への生え代わりが始まる時期です。

歯の生え変わりの時期には口の中の違和感がどうしても気になってしまい、歯ぎしりも起こりやすくなります。

歯ぎしりをすることで永久歯が生えるスペースを確保したり、噛み合わせの調整していると考えられており、このころの歯ぎしりは基本的に心配ないと考えられています。

ただし、中には歯並びに問題があることで歯ぎしりを発生させているケースもあります。 特に、交叉咬合(上下の歯の咬み合せが前後あるいは左右逆になっている)の場合には早期治療をした方が良いこともありますので、早めにしご相談にいらしてください。

12歳以降の歯ぎしり

永久歯が生え揃ったのにかかわらず歯ぎしりが続く場合、原因としては、ストレスや噛み合わせの異常などが考えられます。

ちょうど思春期にもあたるこの時期は、身体の変化も大きく心も不安定になりがちです。また、受験や進路などといった不安や悩みも増え、何かとストレスがかかりやすい環境にあると言っていいでしょう。このようなストレスによって、歯ぎしりや食いしばりが現れることがあります。

歯ぎしりや食いしばりのクセが習慣化してしまうと、歯を支える骨や筋肉の発育に影響が生じて噛み合わせのバランスが悪くなってしまうほか、歯がすり減ってしまったり、欠けたり割れたりする、顎関節症になるなどといったリスクも出てきますので、早めに対策することをおススメします。

お子さまの歯ぎしりへの対応

スプリント療法(ナイトガード)

当院では、歯ぎしりや食いしばりによる強い力から歯を守るために、就寝時に、歯ぎしり対策用のマウスピースを装着することをおススメしております。

歯ぎしり対策用のマウスピースには市販されてるものもありますが、使い方によっては、噛み合わせや歯並びを悪化させてしまう危険性もありますので、歯科医院にてご自身の歯にぴったり合ったものを作成してもらう方が良いでしょう。

保険適用の範囲内で作成できるタイプのものもありますので、3割負担の方でしたら5,000円程度で作成することができます。

矯正治療

噛み合わせの悪さが原因で歯ぎしりや食いしばりが起こっている場合、矯正治療の必要性も出てきます。

まだ永久歯が生え揃っていない段階の場合、お子さまの発育成長をうまく利用し、顎の成長をコントロールしてあげることで永久歯が正しい位置に生えてくるよう誘導する治療を行います。使用する装置は主に、夜間のみ使用する取り外し可能な装置ですので、食事中や学校の時など、人前に出るときは装置をはずすことが可能です。

一方、永久歯が生え揃った段階の場合は、噛み合わせのバランスを整え、歯並びを良くする治療を行います。

通常は、装置を歯に固定する方法を取るのが一般的ですが、ちょうど思春期にあたるこの時期、矯正装置を付けることに抵抗がある場合は取り外しのできる透明なマウスピース矯正(インビザライン)といった方法もあります。

当院でも、透明なマウスピース矯正(インビザライン)をメインにさまざまな装置を取り扱っておりますので、詳しくはお気軽にご相談ください。

咀嚼筋マッサージ

歯ぎしり、食いしばりがある方は、顎や頬などお口周りの筋肉がとても緊張しています。

その筋肉の緊張が、頭痛や肩こりを引き起こしたりする場合もありますので、その筋肉の緊張を緩和させるためにお口の周りのマッサージをし、リラックスさせてあげることも有効です。

咀嚼筋マッサージは、コリ固まってしまった頬や顎の筋肉をほぐすことでリンパの流れを促し、お顔のゆがみも改善していくマッサージです。

「こめかみが痛い」「顎が痛い」「頭が痛い」といった自覚症状がある場合は筋肉の緊張度合いも高いと思われますので、是非試してみてください。